新聞の営業さんにフラれた話
みなさん、家に営業さんがセールスに来たことはありますか?
言葉巧みにデカい声で延々と話しかけてくるセールスマン。
正直、めんどくさいですよね?
相手も仕事のためで、好きでやってる訳じゃない。
仮に自分がセールスをしているとすると、行く先々のお宅で乱雑に扱われるのは嫌です。
だから、相手の気持ちを理解し、愛想よく振舞おうとしてみるものの、延々と話しかけてくるものだから、自然と態度にめんどくさいオーラが出てしまう。
あえて、そのめんどくさいオーラを利用して営業さんを追い返すという方もいるかもしれません。
そんなことをしなくてもセールスをキッパリと断ることができれば、それに越したことはありません。
自分も買う気のない商品のセールスに割く無駄な時間を省けるし、
営業さんも買う気のないお客さんだと分かるなら、購入してもらえるように説得するエネルギーとセールスに割く時間を、買ってもらえる見込みのある他のお宅に回すことができるでしょう。
大阪人のセールス
その日、僕は昼の2時まで寝ていました。
起きて窓の外を確認すると太陽が空高く昇ってます。
ですが、その日は布団に入ったのが朝の8時でしたから、まだ6時間しか寝ていません。
当然、まだ寝ていようと2度寝を決め込み、布団にもぐりこみました。
すると、5分後くらいに
「ごめんくださーい」
インターホンも鳴らさずに、訪ねてくる者がありました。
以前、NHKが僕の家に営業しに来たことがあったので今回もそれだと思い、また「うちにはテレビが無い」と言って追い返さないとな~とまだ寝ていたい気持ちを抑え、なんとか起き上がりました。
すると、インターホンが鳴り
「すみませ~ん。新聞のお付き合いで来たのですが。」
とインターホンの向こうから聞こえました
新聞のお付き合い?なんだそれ?
とりあえず、まだ起きた直後でしたが、潔く返事をし玄関のドアを開けました。
ドアの向こうには24,5歳くらいの背の低い、体育会系の若い男性が微笑んでいました。
顔は織田信成に似ていました。
「すみません。お休みの日に」
「いえ。大丈夫です。」
「夏休みですか?」
「はい。」
「そうですか!大学生とか?」
「はい。」
「そっか!出身は?」
「広島です。」
「あー!俺も大阪!よろしくね!」
何が俺も大阪なのか分かりませんでしたが(おそらく同じ地方出身という意味だと思うが)、そのまま質疑応答は続き
「夏休みの予定は?」
「彼女はいる?」
「サークルは?」
「バイト何やってる?」
「18歳?」
「東京楽しい?」
一見、織田信成に似ていて好印象な営業さんでしたが、話を聞いているうちに、僕の私情にズカズカと踏み入ってくるもんですから、けったいな人だな~と思いました。
そして
「ところで、君は新聞とってる?」
突然、織田信成似の営業さんの目の色が変わり、セールススイッチが入るのが分かりました。
「いえ。とってないです。新聞読まないんで。」
「そっか~!じゃあ、4月から10月まで、毎日欠かさず新聞届けるからお付き合いで新
聞とってくれないかな?」
「いや~でも僕、新聞読まないんで。」
「もちろん、6ヵ月間、新聞を読んでみて、いらないなと思ったら止めてもらってもか
まわないから!ね!お付き合いで!」
「いや~僕、新聞読まないからな~」
「就活にも役立つから!とりあえず新聞とっていただいて、就活までに情報をたくわえ
て、それから止めてもらってもかまわないから!試してもらえないかな!?」
そして、3度目の「いや~僕、新聞読まないからな~」を言ったその瞬間
「OKでーす。あざーしたー。」
ガチャン。
閉まった扉の前で呆然と立ち尽くしました。
しばらく、その場から動きませんでした。
あれ?俺セールスされてなかったっけ?
なんで俺が断られたみたいになってんの?
俺……………フラれたの………?
これだけは言わせて
セールスって大変ですよね。
よくセールスやキャッチをしていると度胸が身についてナンパもできるようになると聞きます。
そりゃそうですよ。
見ず知らずの相手のところに行って、商品を購入するように説得する。
怪しい目で見られるでしょう。怪訝な顔をされるでしょう。不機嫌な態度をとられるでしょう。
営業さんは心底、嫌でしょうね。
ですが、これだけは言わせてください。
営業さんが嫌と思うのと同じぐらい、セールスされる側も嫌と思っているんです。
だから、もうやめません?
もう不毛な戦いはやめましょうよ。
インターネットが普及している時代に不自然ですよ。セールスなんて。