元いじめられっ子が挑戦するヒッチハイク4
今回はヒッチハイクの最中に母の怒号が飛んでくるところからです。
前回は記事はこちら
僕『もしもしー!どした…』
母『あんた、なんしょんねー!』
僕『別に何もしてないよ』
母『別にじゃないわいねー!』
僕『なにが?』
母『あんた今ヒッチハイクしよるじゃろ』
僕『なんで知っとん?』
母『〇〇君のお母さんが教えてくれた』
僕は、このヒッチハイクの動向をFacebookに投稿していました。
この投稿を友達のお母さんがシェアし、僕の母のタイムラインに表示されてしまったのです。
僕『でも、しょうがないじゃん!学校に行きたくないんじゃもん!』
僕は、それから「中国語の授業に友達がいないこと」
だから、「学校に行きたくないこと」を母に泣きながら話しました。
そして、母も泣きながら僕に聞きます。
母『授業は受けんでいいん?』『単位は大丈夫なん?』『卒業できるん?』
どれもこれも大丈夫な訳がありません。正直、大学を辞めようと思っていました。
僕『じゃあ、滋賀まで来たのに帰れって言うん?』
ここで、母は僕の予想を裏切ります。
母『ここまで来たんじゃけん、とりあえず、福岡までは行きんさい。』
滋賀県の南端、大津サービスエリアの2階の一角で、1人の男が母からの電話で泣いていました。
泣きじゃくったので、目は腫れています。
明らかにさっき泣いたのが分かる腫れた目の男が、車に話しかけていきます。
ここまでで分かったことなのですが、社用車で来ているサラリーマンは乗せてくれません。
だから、プライベートで来ている人か、遠くに向かう確率が高いトラックを狙います。
そして、1台の大型トラックに乗せてもらうことになりました。
6台目
ドライバーは30代半ばぐらいの背の低い太ったお兄さん。金髪混じりの髪を後ろで1つにまとめていたのが印象的でした。
『勇気いるやろ、ヒッチハイク。やから、乗したんねん』
『カップルも乗さすけど、腹立つなぁ』
『大型トラックって運転席の位置が高いやろ?隣の車の女の谷間が見えんねん。』
映画、見たことないけど、トラック野郎みたいな人でした。
(敬意を称して)トラック野郎に吹田サービスエリア(大阪府)まで連れてってもらい
ました。
そしてこの大阪で優しい町だなと感じさせられた出来事がありました。
岡山方面と書いた画用紙を持って、お土産屋の前で立っていると、1組の家族に会いました。
阪神のユニフォームを着た主人が僕に話しかけます。
『ごめんなぁ。岡山は行かんねん。西宮名塩なら行くんやけどなぁ。』
そう言って、赤ちゃんを抱っこした奥さんと店の中に入っていきました。
しばらくして中から出てきた旦那さんは、外の自販機でコーヒーを買いました。
それを手にして、
『はい、これ』
と僕にそのコーヒーをくれました。
僕がこの人に何か恩を売った訳ではないし、そもそも今日初めて会った人です。
なんでそこまでできるんだ。
新鮮な気持ちを覚えました。
義理人情の町、大阪を感じたところで、夕方に差し掛かっていました。
体力的にも次の車で今日は終わりだ。
そして、1台のセダンに話しかけました。
7代目
運転席には30代前半ぐらいのノリのいいお兄さん。
助手席には僕と同年代の男の子が乗っています。
僕『岡山方面に行きたいんですけど…』
お兄さん『岡山かぁ、明日の朝なら「勝央サービスエリア」に行くんやけどなぁ。』
僕『大丈夫です!お願いします!』
お兄さん『どうする?乗せる?』
男の子『乗せましょ、面白いし』
お兄さん『せやったら、今日は「泉大津パーキングエリア」に降ろして明日の朝迎えに行くから、それでもええ?』
僕『はい!よろしくお願いします!』
そのときは「泉大津SA」の位置がよく分からず了承したのですが、実質岡山から遠ざかることになります。
しかし、必要なら体も売る覚悟の僕は、もう東に引き返さないのであればどこでもOKです。
ハイウェイで大阪のオフィス街を通り抜けます。
東京が全てだった僕は、大阪の街の規模に驚きます。出身は広島県ですけどね、ええ。
お兄さん『明日はなんかおもろいネタやってもらおうかな。フフフフフフフ』
男の子『ムチャぶり(笑)いいっすねぇ!』
師匠と弟子の関係みたいでした。
そして、パーキングエリアなのかなんだか分からないビルみたいな建物の『泉大津パーキングエリア』に連れて来られ、
3人で少し建物の中を歩き、
明日の朝7時に駐車場で待ち合わせすることにして、一旦別れました。
もしかしたら、明日待ち合わせの場所に来ないんじゃないかと思うこともありましたが、それならそれで違う車を見つければいいやと軽い気持ちでいました。
そして、休憩スペース備え付けのコンセントでスマホの充電をし、定食屋で食事を済ませると、
することがなかったので、円形のソファを寝床に、リュックを枕にしてその日はすぐに寝ました。
そして、朝4時ぐらいに起き、建物内をうろちょろしたり歯磨きを済ませて、駐車場で1台のセダンを待ちます。
まだ待ち合わせの時間にもなっていないのに、予定の時刻に迫るだけで、
やっぱり来ないんじゃないか
という思いが強くなります。
しかし、約束通り昨日のセダンは現れました。とりあえず、車に乗り込みます。
でも、まだ安心はできません。
なぜなら『おもろい』ネタをやらされる可能性があるからです。
念のため、昨日パーキングエリアでそのときのネタを考えてきました。
それは僕の十八番ネタ。
『アナと雪の女王』に登場するトナカイと大男のデュエットソング。
聞くところでは、高校の文化祭で披露し、600~700人を凍てつかせたという、僕の決め球。
いつフられるんだとビクビクしていると、
本当の恐怖はやってきました。
メーターが160kmオーバーです。
ビュンビュン走って、バンバン他の車を追い抜かしてました。
このときばかりは、マジで父と母へスマホのメモ機能で遺書を書きました。
父さん、母さん今までありがとう。
これを読んでいるということは
僕はヒッチハイクで死んだのでsh…
続く。