元いじめられっ子が挑戦するヒッチハイク完
ついに福岡を目の前にして、山口県の久松サービスエリアまで来た。
最後は関門海峡を船で渡りたいと思っていたので、
ヒッチハイクでの最終目的地は壇之浦パーキングエリア。
引用 : 広域マップ
ここまで、1台につき、1県またいできたので、
ここから壇之浦パーキングエリアまでは1台でたどり着けるだろう。
だけど、疲れと『ここまできたんだからもう明日でいいや』という妥協が足取りを止めてしまう。
それと、ここに来て、断られることが怖くなってきた。
だから、断られないよう、絶対に乗せてくれる1台をゆっくり狙う。こうすることで、休憩もとれる。
そして、ようやく見つけた1台の4人乗りの車。
40代後半の夫婦とその母親らしきおばあちゃんが乗っていた。
なんか優しそう。だから、この車に決めた。
そして、やっぱり優しかった。僕を壇之浦パーキングエリアまで運んでくれることになった。
運転席にご主人、助手席に奥さん、後部座席に僕とおばあちゃん。僕の前はご主人だ。
3人とも北九州市に住んでいて、この車は北九州の家に帰る車だった。車内で北九州の魅力を熱く語ってくれた。
もともと、ご主人が広島県の呉に仕事の用があって、そのついでに奥さんとおばあちゃんが大和ミュージアムに観光していたらしい。
あと、奥さんの声が今まで会ってきた人の中で1番キレイで透き通っていた。
僕の生い立ちや旅の経緯を話したところで、寝させてくれた。
起きた。
見ると、シートベルトによだれが垂れていた。
となりのおばあちゃんが気付いていたかどうか。静かで優しい人だったので、おそらくご夫婦に密告されることはないだろう。
安心だ。
しばらくして、大きな橋が見えてきた。
そして、橋を渡らず、横道にそれる。そこに壇之浦パーキングエリアがある。
辺りは真っ暗。
壇之浦パーキングエリアから見える福岡県
本当に間一髪、高速道路生活を免れた。
もし、この車に断られていたり、
壇之浦パーキングエリアより手前で降りる車だったら、
もう1日サービスエリアで一晩を過ごすはめになっていたかもしれない。
このご夫婦からは本当に人の良さを感じた。彼らの子供になりたかった。
そして、壇之浦パーキングエリアでの別れ際、奥さんに千円札を握らされた。
もう目的地に着いたというのに。
旅の途中ならまだ分かるが、これが本当の「気持ち」というものなのか。
福岡まではもう少しだ。
公共交通機関
壇之浦パーキングエリアからは徒歩で下道に降りられる。
歩いていくと、ほどなく海響館や下関の商店街が現れた。
その商店街に停まっていたタクシーのもとへ行く。ヒッチハイクはもうしない。
運転手にフェリー乗り場の場所を聞く。
最後は公共交通機関(船)で渡る。
ヒッチハイクなんてどうでもいい。海を渡るという感覚が欲しかった。
そして、お決まりのこれをやる。
移動した距離1000km以上。
かかった時間、55時間と30分。
乗せてもらった車の数13台。
ヒッチハイクに協力してくれた人の数22人。
僕は福岡にたどり着くことができた。
明日は何をするんだっけ。
あ、そうだ。屋台のラーメンを食べるんだった。
その前に門司港でバナナのたたき売りを見るのもいいな。
そこから博多へは電車で行こうかな。
とりあえず3日ぶりの風呂に入ろう。