床の上に落ちたニラ玉を食べた話
前回、ニラ玉がいかに高くつき、コストパフォーマンスが悪いかについてお話ししました。
今回は、そのニラ玉にまつわる話。
その日、僕は冷蔵庫にある卵の賞味期限が迫っていることに気付きました。
しかも、開封されておらず、卵が10個そろった状態でした。
「ゲッ、こんな数の卵、どうしよう・・・。」
捨てるのももったいないので、何か卵を使う料理はないかと考えました。
オムライスやだし巻き卵、タルタルソース。思いつく料理はたくさんあるのですが、なんせ自炊をしない生活をずっと続けてきたものですから、到底、作れそうにありません。
かといって、卵かけごはんやスクランブルエッグで地道に1個ずつ消費していくのも、骨が折れる。
何か、大量に卵を使う料理は無いものか、とクックパッドを眺めていると、ニラ玉のページに目がとまりました。
卵と豚肉とニラを炒めて、調味料を少し混ぜるだけ。
これならできる!
しかも卵を3つも消費するではないか!
よし!決めた!ニラ玉を作ろう!
僕はそのレシピが何人分かも確認せずに、とりあえず必要な材料を買ってきました。
「ニラ玉♪ ニラ玉♪ 腕がなる~♪」
久しぶりの自炊だったもんですから、僕のテンションは高ぶっていました。
それから溶いた卵を炒め、そこに豚肉とニラを入れ、しばらく炒めて砂糖と醤油と片栗粉と・・・最後に皿に盛り合わせて完成!
案の定、二人分のニラ玉を作ってしまいましたがなんとか卵を3つ使ってニラ玉を作ることができました。
それに、久しぶりの自炊にしてはまあまあの出来ではないか。
そんな自己満足と共にいざ食べようと、箸と茶碗についだ白ご飯とニラ玉を持って机に向かおうとしたそのとき
ニラ玉を持っていた方の手がツルッ。
僕のニラ玉は無惨にも床に散らばってしまいました。
相当メンタルにきました。もうその場で床の上のニラ玉と一緒に寝てやろうかと思いました。
それでも、目の前のニラ玉を見て
「捨てるために作ったんじゃない。食うために作ったんだ!」
と、おもむろに箸を持ち、床の上のニラ玉を食べました。
無心で食べました。無言で食べました。
衛生面とか不潔だとか考える暇もありませんでした。
結局、その後、ふりかけでご飯をかきこみ、以降は何も食べませんでした。
もしその時、僕が親と暮らしていて、僕が床の上に落ちた物を食べる姿を親が見たら、止めるのか、はたまたそのまま食べさせるのかは分かりません。でも、たぶん止めると思います。たぶんですけどね。
そうすると、僕は食べるのをやめていたでしょう。
でも、今回は状況が違った。僕は今、1人暮らしをしている。良くも悪くも、自由の身です。
そして、今回のニラ玉は僕が作った
だから、食べた。腹が痛くなろうが、病院に行くことになろうが、僕の責任です。
そして実際、とてもおいしかった。
皿の上ではないけれど、綺麗に盛り付けられてはないけれど、それでもどんな高級料理屋にも負けない味がしました。
「自分で作った料理はこんなにもおいしいのか。」
本当に良い経験をしました。
そういった経験を経た今、僕が思うのは
店で食べるニラ玉もおいしいけど、
やっぱり自分で作ったニラ玉が1番!
そしてそれ以降、二度とニラ玉を作りませんでした(笑)
完結